双極性障害(躁うつ病)とは

こんにちは。今回は、多くの方が悩みを抱えている「双極性障害」、別名「躁うつ病」についてお話しします。

双極性障害とは?

双極性障害は、気分の波が大きく変動する精神疾患です。「躁状態」と呼ばれる高揚期と、「うつ状態」と呼ばれる落ち込み期を繰り返すのが特徴です。

こんな症状はありませんか?

  • 気分の浮き沈みが激しい
  • 突然やる気に満ち溢れ、眠らなくても平気な時期がある
  • その後、急に落ち込んで何もする気が起きなくなる
  • 周囲から「変わった人」と言われることがある

もしこれらの症状に心当たりがある方は、双極性障害の可能性があるかもしれません。

双極性障害の症状

躁状態の特徴

  1. 異常な高揚感や多幸感
  2. 自尊心の肥大
  3. 睡眠欲求の減少
  4. 普段以上におしゃべりになる
  5. 考えが次々と浮かび、まとまらない
  6. 注意散漫になり、集中力が低下する
  7. 活動性が増加し、落ち着きがなくなる
  8. 快楽的な行動(浪費、性的逸脱行為など)に没頭する

うつ状態の特徴

  1. 気分の落ち込み
  2. 興味や喜びの喪失
  3. 食欲不振または過食
  4. 不眠または過眠
  5. 精神運動の制止または焦燥
  6. 易疲労感・気力の減退
  7. 無価値感や罪責感
  8. 思考力や集中力の低下
  9. 自殺念慮

これらの症状が数日から数ヶ月続くことがあります。症状の程度や期間は個人差が大きいのが特徴です。

双極性障害のタイプ

双極性障害には主に以下の2つのタイプがあります:

  1. 双極I型障害:
    • 完全な躁状態とうつ状態を繰り返す
    • 躁状態が顕著で、入院が必要になることもある
  2. 双極II型障害:
    • 軽躁状態とうつ状態を繰り返す
    • うつ状態の方が長く続くことが多い

双極性障害の原因

双極性障害の正確な原因はまだ解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています:

  1. 遺伝的要因:
    • 家族歴がある場合、発症リスクが高くなる
  2. 脳内の化学物質のバランス異常:
    • セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の不均衡
  3. 環境要因:
    • ストレスの多い生活環境
    • トラウマ体験
    • 薬物乱用
  4. 生物学的リズムの乱れ:
    • 睡眠-覚醒リズムの乱れ
    • 季節変動

双極性障害の治療法

双極性障害は適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、充実した生活を送ることができます。主な治療法は以下の通りです:

  1. 薬物療法:
    • 気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など)
    • 抗精神病薬
    • 抗うつ薬(慎重に使用)
  2. 精神療法:
    • 認知行動療法(CBT)
    • 家族療法
  3. 生活リズムの調整:
    • 規則正しい睡眠-覚醒リズムの確立
    • ストレス管理
    • 定期的な運動

双極性障害と上手く付き合うために

  1. 症状の自己モニタリング:
    • 気分の変動を日記などで記録する
    • 早期の兆候に気づくことで、悪化を防ぐ
  2. 服薬の継続:
    • 医師の指示通りに服薬を続ける
    • 自己判断で中断しない
  3. 規則正しい生活:
    • 睡眠時間を一定に保つ
    • バランスの取れた食事を心がける
    • 適度な運動を取り入れる
  4. ストレス管理:
    • リラックス法を学ぶ(瞑想、深呼吸法など)
    • 趣味や気分転換の時間を持つ
  5. サポートネットワークの構築:
    • 家族や友人に理解を求める
    • 自助グループへの参加を検討する
  6. 定期的な通院:
    • 症状が安定しても、定期的に受診を続ける

双極性障害かもしれないと感じたら

もし自分が双極性障害かもしれないと感じたら、まずは専門医に相談することをおすすめします。早期発見・早期治療が、症状のコントロールと生活の質の向上に重要です。

当クリニックでは、精神科医が丁寧に診断・治療を行います。気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

双極性障害は治りますか?

完治は難しいですが、適切な治療を継続することで、症状をコントロールし、充実した生活を送ることができます。

薬は一生飲み続ける必要がありますか?

個人差がありますが、再発予防のために長期的な服薬が推奨されることが多いです。ただし、症状の経過によっては、医師の判断で投薬量を調整したり、中止したりすることもあります。

仕事や学業との両立は可能ですか?

可能です。適切な治療と自己管理により、多くの方が仕事や学業を続けています。ただし、状況に応じて周囲の理解と支援を得ることも大切です。

妊娠・出産は可能ですか?

可能です。ただし、妊娠中の薬物療法については、胎児への影響を考慮しながら慎重に検討する必要があります。妊娠を希望する場合は、事前に主治医に相談しましょう。

子供も双極性障害になりやすいですか?

遺伝的要因はありますが、必ずしも子供が発症するわけではありません。環境要因も大きく影響します。早期発見・早期対応が重要です。

おわりに

双極性障害は決して珍しい病気ではありません。適切な治療と自己管理により、多くの方が症状をコントロールし、充実した人生を送っています。

もし気分の波に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、ぜひなぎクリニックにご相談ください。丁寧な診断と個々の状況に合わせた治療プランをご提案いたします。

ご予約はこちらから

目次